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1 もし私が絵かきだったら、100年残るような大作になるはずだったのに!!(タイトル) [story [物語のスペース]]

やっと、掲載完了しましたので、順番にレイアウト組み替えました。

まあ、凡庸な内容かもしれませんが、読んでみてください。

児童文学ばっかだと、子供扱いされてしまい、わたし的には

今までの作品の中でも結構面白いのがたくさんあるんだけど、

それはまた、いつか。お目見えできるようになることを祈ります。

で、45年ぶりの大雪直後で、しかも、11日です。本日。

私の誕生日も11日です。(今月ではないが)

よろしく。 よんでやってください。

この作品はフィクションです。著作権はブログ作成・管理者にあります。 

2次使用禁止

まだ、明けきらぬ朝方の暗闇の中で、脳天から体を貫くような痛みと苦痛で目が覚める。

朝の光までには、まだ、少し時間があり、しんと静まり返っているあたりに

水道の蛇口からポタポタと落ちる雫の音が響き渡る。

蛇口をひねり、コップにくんだ水を飲み干してから、こめかみのところに走る

痛みにテーブルに放り投げてあったアスピリンの錠剤を口の中にいれ噛み砕き

ながら、もう一度水で流し込んだ。頭痛持ちの私は、月に幾度か

こんなふうに朝を迎える。そのため、手元から頭痛薬を手放せずにいた。

テーブルの上には、財布やら時計やらCDなんかが転がっていて、そのアルバム

ジャケットにはヨーロッパのどこかのストリートが映し出されていて男性がすれ違っ

ている写真が写っていた。

そのころ、まだ私は20代で、そのジャケットは、イギリスのロックバンドのアルバム

ジャケットで、英語でモーニンググローリーというそのアルバムの訳は、朝方に浮かぶ

巻雲のことだという。それは壮観なのだという。

オーディオの目覚まし機能で朝の7時にはここのところ、そのイギリスのバンドの

イントロが流れるようにセッティングしてある。高校生のころ、マイブームで、

この目覚まし機能にジョンレノンのイマジンをセッティングしていた時もあった。

それはそれで、最近はずっと、そのイギリスのバンドのイントロが朝から

ジャカジャカ流れているのだけれど、

その感じこそ、タイトルのニュアンスどおりに明け方の壮観のようなものかもしれなかった。

この頃私は、雑誌の原稿書きの小遣い稼ぎをしながら、CDショップでアルバイト

をしていて、まだ、音楽のデジタル処理技術が今のように発達していない時代で、

毎週のオリコンのチャート変更とCDのレビュー書きに日々おわれていた。

そういうふうにして、得た稼ぎで日々暮らしていた。

その部屋には、テーブルと原稿用のデスクが置いてあって、ベッド替わりのロフトと、

ばかみたいに日当たりの良い大きな出窓があった。

そこには、ガラスの一輪挿しにひまわりの造花が飾ってあった。

春のやわらかい日差しにうとうとしながら、

 

とかした水のようにハイビスカスの赤い花弁の色で染まっていた。

そもそもは、幼馴染の結華が渋谷の洋服屋に高校卒業と同時に就職して、

都内に一人暮らしを始めたので、便乗して働く場所を探して家をでたのだ。

結華と同じく、大学に行かなかった私は、出版社でエディターになるのは

難しく、だけど、勉強をしてまでそういう仕事に就くほどの根性はなく、

親は半ば呆れているのだが、それでも私の心配をして、仕送りやら、食料やらを

次々送ってくる。この放蕩娘のために。

結華と私は近場に住まいを構えたので、割と頻繁に行き来をしていて、

申し訳程度の結華の住まいの台所ではまともに何かを作るなんて、

とても難しくて、私の部屋の一畳くらい有るカウンターキッチンを使いに遊びにやって

くるのだ。

そのカウンターには、料理の本がいくつも立ててあって、中でも、

イタリアンのその本をとても気に入っていた。その日も結華は、休日の私

のもとにやってきて

「お願いがあるんだよ」

と、ショッピングバッグを、ドスンと玄関に置いた。

結華は赤いチェックのネルシャツを着ていて、ストレートでショートの黒髪

は日本人のそれで、赤い洋服によく映えた。

「アウトレットなんだけど、もらってきたから着てみてよ。」

と、別のビニールバッグを渡した。

こんなものをこんなにたくさんいただいていいものか?と思ったのだけど、

とにかく、在庫が掃けないそうで、ありがたく頂いておいた。ショッピング

バッグを開けると、そこには、パルミジャーノレッジャーノの500gくらいの塊と、

フランス産の炭酸水と杏露酒の原液と、洋梨が3個ほど入っていて、

「なんで、こんな取合せなの?」

と聞くと

「うん、美味しそうだから」

と彼女はいった。これは太るだろう、と思いながらも

チーズおろしの器械をキッチンの引き出し奥から引っ張り出してきて、

パスタボトルには、まだたくさんパスタが

保管されているのを確認した。

「じゃあ、簡単にペペロンチーノでもいきますか?」

わたしは台所に立って、早速鍋に湯を沸かして

キッチンタイマーをセットした。

結華は私が台所に立っているあいだにオーディオデッキを

いじくり、BGMを流した。

「なにこれ?」

と私に聞く。 

「なんだっけなあ、それ。最近出たばかりのバンドだよ。ジャズ風のピアノ

でアレンジした曲。」

「アンチョビある?」

結華は私に聞いた。

「ああ、あれ大丈夫?じゃあ、いれようか?」

冷蔵庫から瓶詰めのアンチョビの使いかけを取り出して、フライパンに放り込んだ。

10分ちょっとで、ガーデンテーブルの上には、杏露酒の炭酸割りと、

ペペロンチーノと洋梨が並んだ。

おもむろに結華が口を開いた。

「私、結婚するんだよ。」

パスタをフォークで丸めて口に放り込むとやけどするくらいの温度でアンチョビ

の香りが口いっぱいに広がる。

「彼と?」

「うん」

結華は、こちらに出てきて3年ほど経っていた。

私は、少し遅れて出てきたので、2年半くらいだった。

彼女は同じ会社の同僚ともう一年以上はお付き合いをしているのだけれど、

その男性と結婚するらしい。

私はというと、実は、同じくらいにやはり別の男性と知り合う機会はあったが、

結婚なんて考えたこともなかったので、なんとなく大した時間が過ぎない

うちに音信不通になってしまった。

「転勤するって言うから、入籍をして一緒についていこうかと思うんだあ」

「すごいイイじゃん、結婚式は?」

「簡単に、パーティーをすると思うよ」

「こっちで?それとも地元に帰る?」

「こっち」

BGMは、ピアノの軽快なリズムが心地よく流れていてその音をバックに

「仕事はどう?」

と結華は聞いた。

「まあ、原稿料は安いからね。だけど、ショップの方は勤務時間

も長いから、まあまあ。」

「あ、あれ、書いたの?モーニンググローリーだっけ?かっこいいやつ」

「ああ、あれね、輸入盤まで買ったけど、訳が悪いのかなあ?」

この日のことは今でもよく覚えていて、おそらく彼女が結婚する前に最後に語り明かし

た夜だったと記憶している。

続きは、新作記事の項目  「2 もし私が絵かきだったら・・・・・」から入ってください。

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